脂肪燃焼の仕組みとインシュリン
体脂肪が燃焼する仕組みとは?
体脂肪は普段脂肪細胞の中に貯めこまれているのですが、身体を動かしたり生命活動を行う際にはこの体脂肪がエネルギー源として使用されます。運動をして体温が上がると、血液中の糖がまずエネルギーとして消費されます。やがて糖は使い尽くされて血糖値が下がると、新たなエネルギー源となって脂肪を使えという命令が脳から出され、これによりグルカゴンというホルモンが分泌されて脂肪分解酵素が増加して体脂肪がグリセリンと脂肪酸へと分解されていきます。血液中に溶け出した脂肪酸は筋肉へと運ばれ、エネルギーとなって消費されることで体脂肪の燃焼が可能です。
脂肪燃焼を抑制するホルモン「インシュリン」
脂肪燃焼することで脂肪が消費され、やがて私たちの身体は痩せていきます。しかし、身体の中にあるインシュリンというホルモン物質は脂肪燃焼を抑制する働きをもっているため、インシュリンが分泌され過ぎるとどんなに運動しても痩せにくい体質になってしまいます。そもそも、インシュリンは血糖値を下げるという大切な役目を担った、私たちにとって必要不可欠なホルモンです。食事をすると血液中の糖が急に増加するため、血液はドロドロとした状態になってしまいます。この状態が長く続くと動脈硬化や狭窄を引き起こしてしまうため、インシュリンが血液中にある糖を減らして回ります。血液中のエネルギーを最優先で消費しようとするため、脂肪細胞が燃焼されないだけでなく余ったエネルギーをどんどん脂肪細胞に取り込んでしまいます。結果的に血糖値は抑えられるものの、体脂肪が増えていくことになるため脂肪の燃焼が進みません。血糖値の変動が緩やかになれば、インシュリンの活動が活発になることもありません。すると血液中のエネルギーがしっかり全身に行きわたって消費されるため、脂肪として蓄えられにくくなります。このように、脂肪燃焼を目指すならインシュリンをどうコントロールしていくかが重要になります。
インシュリンが分泌されると起こる症状
インシュリンは本来、動脈硬化を防ぐために血糖値を下げようとして分泌される物質です。血液中の糖は体脂肪よりも燃焼されやすいので、優先的に消費することで血糖値を下げることができます。これにより血管は確かに助かるのですが、体脂肪は燃焼されなくなるため痩せにくい状態になってしまいます。また、インシュリンが多く分泌されると血糖値を下げる作用が過剰になり、余った糖が次々に脂肪細胞の中へと蓄積されてしまいます。上述したように体脂肪は燃焼しにくい状態になっているため、インシュリンがある限り体脂肪がどんどん増えて太ってしまうことになります。インシュリンには筋肉の中のグリコーゲンという物質をエネルギー源として消費させる作用もあるので、本来筋肉を動かすためのエネルギーを確保することができません。このため筋肉はすぐに疲れて筋肉痛が起きるようになり、同時に成長ホルモンの分泌まで抑制されて満足に回復することもできなくなります。この他、血糖値が下がり過ぎて脳に必要なエネルギーが行きわたらなくなり、めまいや全身の倦怠感など様々な不調が現れることもあります。
インシュリンを抑え体脂肪を燃焼させるには
体脂肪を燃焼させて痩せる身体にするためには、いかにインシュリンの分泌を抑えるかが鍵となります。インシュリンが過剰分泌される原因は、血液中の糖が急激に増えてしまうことです。つまり、高カロリーの食事を一気に食べたり、エネルギーになりやすい炭水化物を多く含んだ食事を控えることで血糖値の上昇を穏やかにし、インシュリンの分泌を抑えることができます。ただ、エネルギー不足の状態で運動を行うと、脳にエネルギーが不足してめまいやふらつきが起きて危険です。飢餓状態のまま食事を摂れば、必要以上に栄養を溜めこもうとするので、逆に太りやすい体質になってしまいます。これを防ぐために、良質なエネルギー源のタンパク質を豊富に含む食事を運動の3時間前くらいに摂り、栄養が十分な状態で運動するようにしましょう。また、毎日の食事内容にも注意が必要です。炭水化物とタンパク質と脂質の比率を4対3対3の割合でキープすると、理想的な栄養バランスとなりインシュリンの分泌を減らすことができます。さらに、血糖値の急激な上昇を防ぐために、食事と食事の間隔を空け過ぎないというのも有効です。
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